【ルームフレーバー.com連動企画】記念日をもっと愉しむ方法

【ルームフレーバー.com連動企画】だから、記念日…

キャンドル記念日

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家の外へ出るとあたり一杯に広がった金木犀の香りで、秋がやってきたことを、そして冬に向かうことを確認する。

寒い季節の楽しみは、やはり家の中で過ごす時間ではないだろうか。タータンチェックのブランケットや、フェルトで出来た赤のルームシューズなどを戸棚から出せば、急に部屋の中が秋冬仕様になる。その時必ず一緒に、色とりどりのキャンドルも用意する。
ずっと昔の、ある秋の終わりの頃、母が家族に宣言したことを思い出す。

「今日から我が家はろうそくで暮らします。」と、突然言い出した。その時点で提案ではなく決定で、彼女独自の問題意識の高さからくるそういう決定は、比較的頻繁におこっていたので、家族は驚くというより楽しんで従った。

とにかくバスルームもリビングも照明類はキャンドルに変わった。部屋と部屋を結ぶ小さな通り道――廊下と言う程ではない、にも点々とキャンドルが置かれている。まるでキャンプをしているような、日常ではないワクワクとした気持ちで子供達は大喜びだった。いつもの晩御飯もなんだか特別に思えて、誰もが今日一日にあった出来事をたくさん喋った。夜はテレビも見れなかったので、早々にふとんに入り、そして目が覚めれば朝日があることが、こんなに嬉しいものだとはじめて知った。

結局母の目的が何だったのかと、いつ終わりにしたのかは記憶がはっきりしないが、キャンドルのゆらぎがもたらす様々な思い出が作られたのだった。
そしてこのキャンドルの灯で過ごしたことが記念日のようになって、秋になると自然に食卓や、バスルームにもキャンドルを用意する。もちろん今は、全ての照明を使わないということはないけれど、長くなった夜を一緒に過ごす大切なアイテムとなっている。

お風呂の電気はつけずにお湯に浮かぶフローティング・キャンドルを眺めれば、ぎっしりつまった予定のことや心配ごとからふっと開放される。食事もキャンドルの灯の方が、なぜだか美味しそうに映る。話したいことも、いつもよりたくさん出てくるから不思議だ。お茶の時間になればバニラの香りのアロマキャンドルに変えてみてもよいかもしれない。香りつきを使う場合、出来るだけ人工香料を使わずに植物の精油で作られたものの方が、柔らかな香りを放ち、ざらざらとした気分を鎮めてくれる。

10月の終わりから11月になれば、紅葉のあとに秋が終わりを告げる頃だ。
季節ごとに楽しむ事は、日常にもたくさんある。思い出になった記念の出来事を見つけることは、ささやかだけれど、大切に生きていることに繋がる事――そう信じている。

By  デザイナー   谷合緋沙子さん
コラム「東京のお家、モロカイのお家」
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